「すべては、たのさまのおかげです!」
「とんでもございません!」
こんな風に、相手から称賛の言葉をもらったとき、「とんでもございません」「とんでもありません」と返すことって、ビジネスシーンではよくあるよね。でも、これって実は正しい敬語ではないみたいなんだ。なぜだろう?
そもそも「とんでもない」の意味ってなんだろう?「とんでもない」は「徒でもない(道理に外れてひどい)」から転じた言葉といわれているよ。意味は次の3つ。
ビジネスでよく使うのは(3)の使い方だね。「とんでもない」は、これらの意味を持った形容詞だよ。つまり、「とんでもない」で一つの言葉だから、一部を切り離して、「とんでも+ございません(敬語)」というように切り離して使うのはおかしいんだ。
「とんでもない」を敬語として使うときは、「とんでもないことです」「とんでもないことでございます」とするのが正しいよ。でも、ここまで丁寧な表現は、あまり日常で使っているのを聞かないよね。
ちなみに文化庁が発表している「敬語の指針」では、
「とんでもございません」「(とんでもありません)」は,相手からの褒めや賞賛などを軽く打ち消すときの表現であり,現在では,こうした状況で使うことは問題がないと考えられる。 (文化庁:文化審議会答申「敬語の指針(答申)」,平成19年2月2日,P.47)
と解説されているよ。この用法が広まった現在では、「とんでもございません(ありません)」でも、問題がないということだね。ただし、「とんでもない」は、元々「強く否定する語」でもあるから、失礼にあたるかもしれないってことは心に留めておこう。
さてはて、こうしてみると、どう使うのがいいのか悩んでしまうね。そんなときは、次の例のように、ほかの言葉に置き換えられないか考えてみよう!
(例)
敬語全般にいえることだけど、同じフレーズを繰り返し使ってしまうと、機械的に聞こえて相手に気持ちが伝わらないよ。嬉しい言葉をもらったとき、バリエーション豊かに、スマートな返答ができると印象アップも間違いなしだね♪