たのくんの間違えやすい敬語講座

間違えやすい敬語を紹介していくよ♪

実は奥深い!夫婦の呼び方


結婚している人が配偶者のことを話すとき、一般的に「夫」「妻」と表現するよね。ほかにも、「うちの旦那が」「かみさんがさ〜」なんて話しているのを聞いたことはないかな?パートナーの呼び方はいろいろあるけれど、その言葉にはどんな違いがあるんだろう?表にまとめてみたよ!


【配偶者(男性)をさす表現】

「配偶者である男性」を意味する言葉
主人
  1. 妻が他人に対し、夫をさしていう言葉
  2. 家の長や、一家のぬし。店のぬし。あるじ
  3. 自分の仕える人。雇い主など
旦那
  1. 家人・奉公人などが主人を敬っていう言葉
  2. 女性と特別の関係をもち、生活の面倒をみている男性
  3. 妻が夫をいう言葉
※「旦那様」が敬意の高い言い方であるのに対し、「旦那」の場合はぞんざいな言い方
亭主
  1. その家の主人。宿屋・茶店などのあるじ
  2. 茶の湯で、茶事を主催する人

「夫」は「男性側の配偶者」を指すのに対して、「主人」「旦那」「亭主」という言葉には「家のあるじ」といった意味もあることがわかるね。


【配偶者(女性)をさす表現】

「配偶者である女性」を意味する言葉
  1. 妻。または、他人の妻をいう言葉
  2. 結婚して、夫の家族の一員となった女性
  3. 息子の妻となる女性
家内
  1. 妻。通常、他人に対して自分の妻をいうときに用いる
  2. 家の中。屋内
  3. 家族
女房
  1. 妻のこと。多く、夫が自分の妻をさしていう言葉
  2. 貴族の家に仕える侍女(小間使い)
かみさん
  1. 商人・職人などの妻、または、その家の女主人を呼ぶ言葉
  2. 親しい間柄で、自分の妻、または他人の妻を呼ぶ言葉
奥様
  1. 他人の妻を敬っていう言葉
  2. 女主人を敬っていう言葉(使用人などが使う)
奥さん 奥様のややくだけた言い方

注目したいのが「嫁」という表現。自分の配偶者のことを「嫁さん」という人もいるけれど、それは間違い。本来、「息子の配偶者」に対して使う言葉だから、自分の妻のことを「嫁」というのはおかしいんだ。さらに、意味(2)では「結婚して、夫の家族の一員となった女性」とあるけれど、はたして「妻」は夫側の家族に「入れてもらう」ものなのかな?


現在では婚姻時、夫婦で新しい戸籍を作ることになっているから、「相手の戸籍に入る(嫁ぐ)」なんてことはなくなったんだよ。となると、「嫁」というのは、昔の家制度の考え方が表れている呼び方ともいえそうだね。


「妻」という言葉には「配偶者としての女性」という意味しかないけれど、「嫁」「奥さん」といったほかの表現には、昔の家制度、身分や主従関係を感じさせる意味が含まれていることがわかるね。こうした表現は、時代に合わせて今後減っていくかもしれないよ。


話は少し変わって、公共機関ではLGBT支援の観点から、性別や関係性を決めつけない表現を推進する動きがでてきているよ。例えば、千葉県千葉市が作成した「LGBT を知りサポートするためのガイドライン」では、窓口・電話対応で、「夫」「妻」という表現ではなく「配偶者」「パートナー」といった呼び方をしたり、「お父さん」「お母さん」という呼び方から「保護者」「ご家族」とするなど、限定的な表現を改めようとしているんだ。共に暮らし生きていくコミュニティの形は多様。家族観やジェンダーを決めつけない表現が、一般化していくのは大事なことだね!


呼び方って、お互いの関係性や考え方が表れるから奥深い!誰かが傷ついたり、嫌な気持ちにならない呼び方を意識したいものだね♪