パイロット社のフリクションシリーズに代表される、インクが消えるペン。ボールペンやマーカーなのに、ペンに付属の専用ラバーで書いた文字をこすると、まるで消しゴムを使ったようにキレイにインクが消えるから、最初に見たときはビックリしたな~。日本だけでなく、世界的にも大人気というのも納得の便利さだよね。
ところで、フリクションペンのインクが、なぜ消えるかは知ってる?
紙に書いたインクを専用ラバーでこすると、摩擦熱が起きる。その熱が60℃以上になると、フリクションペンのインクに含まれる「インクを消す成分」が活性化し、色が見えなくなる……というしくみなんだって。
こするという動作ではなく、「60℃」という温度がポイントなんだね。だから、ときに予想外にインクが消えちゃった!というアクシデントもあるんだよ。
たとえば、
夏に車の中にフリクションペンで予定を書いた手帳を置いていたら、インクが全部消えて見えなくなっちゃった!
とか、
フリクションペン本体を車中に放置していたら、インクが無色になっちゃった!
なんてことも。
真夏の炎天下では、エンジンを切った車の中の温度は50℃以上、ダッシュボードでは80℃近くにもなるんだそう。消せるボールペンで書いた文字が、2時間ほどで消えてしまったという実験結果もあるんだよ。
とはいえ、消えてしまったインクを復活させることも、実はできないことはないんだ。
フリクションペンのインクの色は、いったん消えてしまっても、マイナス10℃以下で復元が始まり、マイナス20℃になると完全に元に戻る性質があるんだよ。
家庭用冷蔵庫の冷凍室は概ねマイナス18℃。書き込みが消えた手帳やインクが無色になったペンを、ひと晩ほど冷凍室に入れて冷やしたら、インクの色が復活する可能性が期待できるよ。
ただ、極端な高温や紫外線では、インクの色が消えるだけでなく、インクの成分そのものが破壊されることもあるんだ。その場合は、冷やしても復元できないのでご注意を……。
ノートを取ったり繰り返し書き込みたいところには、簡単に消せるフリクションペン。消えたら困る情報や正式な書類には、消えないインクのペン。シーンに応じて、上手に使い分けをしていきたいね。