手紙の書き方

ビジネスで手紙を書く機会はありますか?
仕事での連絡手段の主流は「メール」だという方は多いでしょう。
しかし、お礼やお祝いの気持ちを伝えるときは、手紙のほうが丁寧に感じられますね。印象アップを目指して、心を込めたすてきなビジネスレターを書いてみませんか?

●ビジネスでの手紙 ─ 基本の形式 ─

ビジネスレターの正しいスタイルを押さえておきましょう。
・文字は楷書で縦書きに
・構成は、1.前文   2.主文   3.末文   4.後付 で

1.前文

「拝啓」「前略」などの「頭語」と「時候のあいさつ」からなります。頭語・時候のあいさつに続き、相手の繁栄・健康を喜ぶ一文や、平素からの厚情へのお礼を添えることが主流です。

■頭語の例
一般的 拝啓
拝呈
啓上
一筆申し上げます(女性が使う頭語)
目上の方へ 謹啓
謹呈
恭啓
謹んで申し上げます(女性が使う頭語)
お詫び・お見舞い
または親しい人へ
前略
冠省
前略ごめんください(女性が使う頭語)
急用の場合 急啓
急呈
急白
取り急ぎ申し上げます(女性が使う頭語)
相手に面識のない場合 拝啓
拝呈
突然お手紙を差し上げる失礼をお許しください(女性が使う頭語)
■時候のあいさつ

頭語に続けて、季節を感じ、味わう一言「時候のあいさつ」を入れます。

▼各月の代表的な時候のあいさつ例
1月 新春の候/春寒の候 7月 盛夏の候/極暑の候
2月 残雪の候/晩冬の候 8月 処暑の候/残夏の候
3月 早春の候/浅春の候 9月 秋分の候/秋霜の候
4月 桜花の候/春暖の候 10月 中秋の候/秋涼の候
5月 新緑の候/春暖の候 11月 紅葉の候/深冷の候
6月 立夏の候/梅雨の候 12月 師走の候/寒冷の候

上記は一般的な時候のあいさつ例ですが、漢語調で短めなので、やや事務的な印象を持たれがちです。ここを「~の候」は用いずに、自分なりの表現で季節を表すと、手紙に気持ちを込めている工夫が相手に伝わることでしょう。
 ※お詫び・お見舞いの場合は、時候のあいさつは抜きにして本題に入ります。

▼四季折々オリジナル感を持たせた時候のあいさつ例
日差しに明るさと暖かさが増し、春の近づきを実感いたします。
大暑を過ぎ、暑さに目のくらむ夏のただなかとなりました。
澄んだ空に金木犀の香りが流れていきます。
冷たい風に、街行く人がコートの衿を立てる姿が目立つようになってまいりました。

そして、時候のあいさつの後には相手の繁栄・健康を喜ぶ/確信する一文を添えます。

▼相手の繁栄・健康を喜ぶ/確信する文例
時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
皆様ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
貴社ますますご隆盛のことと拝察いたします。
ますますご壮健にてご活躍のこととお喜び申し上げます。
貴社の皆様におかれましては、暑さに負けずご活躍のことと拝察いたします。
お元気でご活躍のことと拝察申し上げます。
貴社におかれましてはますますご隆盛のこととお慶び(お喜び)申し上げます。
貴社の皆々様はご精励のことでしょうか。

2.主文

主文は、その手紙で伝えたい一番の用件(お礼やお祝いなど)です。主文に移ることで、いよいよ手紙の本題に入ることになります。
前文からの流れが唐突にならないように、「さて、」「このたびは、」などの言葉をつけて本題に入っていきます。
大切な主文にはどういった要素を盛り込むと好印象の手紙になるか、シーン別で考えてみましょう。

■セミナー講師へのお礼
  • 多忙の中、セミナー講師を務めてくれたことへの感謝
  • どう有意義であったか(個人の感想や社員たちの声)
  • 教わったことを業務にどう活かしていきたいか(具体的であるほどよい)
  • ■パーティーで会った方へ改めてのあいさつ
  • 何のパーティーで出会った誰かを思い出してもらう
     (例:○○のパーティーで、向かいの席に座っておりました△△社の□□でございます)
  • 会話した内容や相手のスピーチで印象に残ったこと・感服したこと・同感したことを具体的に伝える
  • 親交を深めたい旨を伝える
  • ■来店・購入へのお礼
  • 多忙の中、来店してくれたたことへの感謝
  • 購入された商品がその方にどうふさわしいかの感想、活用法の提案
  • またの来店を心待ちにしている気持ち
  • ■取引先の方の昇進祝い
  • お祝いの言葉
  • 成功をたたえ、お世話になったお礼を述べる
  • お祝いの品を送ったのであればその旨と、いつ頃届くかも書き添える
  • 3.末文

    本文が終わり、用件を結ぶためには「末文」が必要となります。
    末文部分は、末文の導入→今後の厚情・指導をお願いする言葉→相手の発展・繁栄・健康を願う「結びのあいさつ」で成り立ちます。
    すべてが必要というものではありません。

    ■取引先への末文例(「末文」の導入部分から「結びのあいさつ」まで)

    (導入)これからもご用命いただきます仕事の一つひとつに心を込めてていねいに取り組んでまいります。(指導のお願い)今後ともご指導のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。(結びのあいさつ)時節柄、皆様方、どうぞご自愛くださいませ。

    ■昇進祝いの末文例(「末文」の導入部分から「結びのあいさつ」まで)

    (導入)○○様におかれましては、これからはより一層の重責を担われることと存じますが、(結びのあいさつ)ご健康で、ますますご活躍されますことを心よりお祈り申し上げます。書中をもちましてお祝いとさせていただきます。

    ■結びのあいさつ例
    本年も変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
    末筆ながらますますのご活躍をお祈り申し上げます。
    一層のご活躍を祈念いたしております。
    時節柄くれぐれもご自愛くださいませ。
    ご自愛専一にお過ごしくださいませ。
    ご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。
    略儀ながら書中をもちましてお礼とさせていただきます。

    最後は、「頭語」に対する「結語」で締めます。

    ■頭語にふさわしい結語例
    一般的 拝啓 敬具
    拝呈 敬白/敬具
    啓上 拝具
    一筆申し上げます(女性が使う頭語) かしこ(女性の結語)
    目上の方へ 謹啓 謹言/謹白
    謹呈 謹白
    恭啓 敬白
    謹んで申し上げます(女性が使う頭語) かしこ(女性の結語)
    お詫び・お見舞い
    または親しい人へ
    前略 草々
    冠省 不一/草々
    前略ごめんください(女性が使う頭語) かしこ(女性の結語)
    急用の場合 急啓 草々
    急呈 不一/草々
    急白 不備/草々
    取り急ぎ申し上げます(女性が使う頭語) かしこ(女性の結語)
    相手に面識のない場合 拝啓 敬具/拝具
    拝呈 敬具
    突然お手紙を差し上げる失礼をお許しください(女性が使う頭語) かしこ(女性の結語)

    4.後付

    日付、自社名・署名、相手の会社名・部署名・宛名の順に書きます。
    相手のお名前が1行の半分より下に来ないように気を付けます。

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    心を込めて仕上げる手紙。あなたの文面が、相手の胸に温かく染み入りますように。

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